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  • 執筆者の写真圭介 佐藤

決算特別委員会質疑2日目

更新日:2020年11月19日


決算特別委員会の質疑2日目のテーマは、

(1)水源環境保全・再生事業会計における市町村事業推進費について

(2)あゆ種苗生産業務委託について

(3)急傾地崩壊対策について


3点でした。詳細をお知らせします。


(1)水源環境保全・再生事業会計における市町村事業推進費について

県では、将来に渡って安心して水を利用していただくため、平成19年度から水源環境保全再生事業を実施しています。

この事業は、広域的な視点で県が中心となり推進していますが、その他地域水源林や生活排水施設の整備など市町村が主体となって推進してきた事業を特別対策事業に位置付け、水源環境保全税を財源として支援を行っています。


令和元年度はこの事業に4,850万円の不用額が生じており、内容について確認しました。


●地域水源林の整備

→整備内容の見直しや面積の減などにより不用額約2,880万円

●河川・水路整備

→工事範囲の縮小や出来高による精算などにより不用額1,230万円

●生活排水処理施設の整備

→事業の中止や設置見込み数に対し実績がすくなかったことなどにより不用額670万円


生活排水処理施設の整備促進対象地域


高度経済成長期から「トイレの水洗化」を目的とした「単独処理浄化槽」が急速に普及しました。

単独処理浄化槽(みなし浄化槽)は「トイレの水」のみを処理し、生活雑排水を処理しないため、生活雑排水も併 せて処理する「合併処理浄化槽」に比べて、汚れの量が8倍になります。

「生活排水処理施設の整備」とは、生活雑排水を処理する下水道、合併処理浄化槽、農業集落排水施設などを整備することをいいます。

※生活排水処理施設の整備(改訂 神奈川県生活排水処理施設整備構想より)


市町村事業推進費の中でも、生活排水処理施設の整備促進事業費が7億円を超える一番大きな額となっています。

このうち4億7,000万円がダム集水域における下水道整備事業費であり、残りの2億4,000万円は合併処理浄化槽の整備費です。


相模川水系・酒匂川水系取水堰の県内集水域(H19~H30)(県HPより


県内の生活排水処理率については、98.1%となっていますが、個別にみると都市部は100%を超えている一方で、山間部等の地域では処理率が低い市町村も見られ、ダム集水域では70%程度にとどまっています。


ダム集水域の生活排水処理率は、水源環境保全再生施策の導入前は40%台であったため、大幅に向上していますが、計画の残り7年間で100%を目指すのは厳しい状況です。


県は今年度から個人負担となる住宅内の排管費用について国と協調して補助を拡大しましたが、この制度を活用するためには市町の制度改正が必要となるため、市町に対し制度の見直しを働きかけていくとのことです。

また、公共下水道の整備については、山間部や急峻な地形での工事の進捗が遅れていることから、市町へのヒアリングにより課題を共有し、対応策を検討していきます。


※公共下水道(汚水)整備状況図(神奈川県の下水道事業より)


生活排水処理施設の整備については、整備後の維持管理が負担になっているとの声を伺っています。

県としては、市町村事業推進費を下水道などの公共施設や浄化槽のメンテナンスなど恒久的に必要となる事業に充当する考えはないとのことでしたが、水源地域の水質保全の観点からも今後議論は必要となってくることから、検討を求めました。



(2)あゆ種苗生産業務委託について


※かながわブランドに認定されている相模のあゆ(かながわブランド振興協議会HPより)


河川放流用などのあゆの稚魚の生産を行うため、県は一般財団法人の神奈川県内水面漁業振興会に対して、約4,500万円の委託料を支出しています。


この業務委託により10月頃卵からふ化させた稚魚を飼育し、翌年の5月にかけて川に放流できるサイズである3グラム以上に成長させます。

この間一部間引いた稚魚を、令和元年11月に運用が始まったあゆ中間育成施設へ供給することで、最終的には25倍まで生産量を増やすことができます。

この連携によって、放流用稚魚の県内自給率が、整備前の24%から54%まで向上することが見込まれています。

※遡上するあゆ(県HPより)


更なる自給率向上を目指すための課題については、


①あゆの卵の提供時期を今より早め、放流までの飼育期間を長くすることで、中間育成施設への供給量の増加につなげること

②種苗生産施設が建造から25年経過しているため、計画的な改修工事を行い、生産規模の維持拡大を図ること


とのことです。


本県はあゆの漁獲量が全国で2番目と非常に多く、重要な魚種と考えます。

県内産アユの自給率向上に向けて、今後もしっかりと課題解決を図りながら内水面漁業の振興に取り組むことを求めました。



(3)急傾地崩壊対策について


※土砂災害の種類(県HPより)


県では、災害に強いまちづくりのため、土砂災害防止施設の整備を進めるとともに土砂災害が発生するおそれがある区域を明らかにするために必要な調査を行いました。


これまでの決算額

令和元年度:33億3,100余万円

平成30年度:39億9,500余万円

平成29年度:38億8,400万円

と推移しています。


令和元年度末までに1,388か所で工事がおおむね完了しており、整備率は約5割です。


施設整備には時間、費用ともに相当費やすこととなりますが、近年の大型台風や大規模な水害の教訓を踏まえ、今年2月に策定した神奈川県水防災戦略のもと、社会福祉施設などの要配慮者利用施設のある箇所や、過去に崖崩れが発生した箇所などを重点的に整備し、これまでの5割増となる年15か所程度の概成を目指して整備を進めています。


※土砂災害の種類と区域の指定方法(県HPより)


調査内容は、土砂災害防止法に基づき、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)を指定するための調査です。


これまでの決算額

令和元年度:44億4,600余万円

平成30年度:23億7,200余万円

平成29年度:11億5,400余万円

となっています。

災害の激甚化のため、大幅に増額していることがわかります。



これまでの進捗状況については、対象箇所が多く調査に時間がかかることから、まずはイエローゾーンの指定を先行させ、平成28年度までに全区域の指定が完了しています。


レッドゾーンは、令和元年度末までに3,448か所を公表し、そのうち2,136か所を区域指定しています。

令和2年9月末現在では6,159か所を公表し、2,316か所を区域指定しており、残る箇所については、令和2年度の指定完了を目指し作業を進めている状況です。


また、イエローゾーンに指定されると、市町村は警戒避難体制の整備が義務付けられるため、それに伴いハザードマップを作成し、さまざまな体制整備を行っています。


がけ崩れから県民の安全・安心を守るため、ハード対策として、急傾斜地崩壊防止施設の整備を進めることと併せて、ソフト対策として、土砂災害警戒区域等の指定を進めることが大変重要です。

今後とも、ハード・ソフトの両面から、しっかりと急傾斜地崩壊対策に取り組んでいただくことを求めました。


当日の質疑の様子は、県HPからご覧いただけます。


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