top of page
検索
  • 執筆者の写真圭介 佐藤

令和5年第3回定例会討論《12月》




新型コロナの影響も落ち着き、関東財務局の発表によれば、県経済も緩やかに回復しつつあります。

一方で、今後、2024年問題といわれる「働き方改革法案」により、物流や運送業のドライバー不足、建設業の人材不足、さらに、円安や人手不足による物価高騰が続いており、迅速かつ適切な支援が求められています。

県として、こうした事業者支援、県民生活を守るためにスピード感と柔軟な対応力をもって施策を進めていただくよう申し上げ、討論に入ります。


初めに補正予算についてです。


11月補正予算では、過去最大となる159億 余万円のゼロ県債が上程されています。これにより、中小企業者の端境期における仕事量が確保できることや、年間事業量の平準化が図られるほか、県民生活に直結する事業が推進されます。また、若手の人材確保や技能者の処遇改善など、建設業の働き方改革にも必要な取り組みです。ゼロ県債の設定については、働き方改革にどれだけ寄与するかなどの評価をしていくことも、制度検証においては重要です。今後の設定においては、できる限り件数や金額を増やすとともに、様々な観点からの検証にも取り組むよう求めます。


次に、12月補正予算についてです。


国の「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に対応し、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に速やかな支援を行うため、今回、約123億円が上程されています。高騰するLPガス料金への対応、医療機関や福祉施設、私立学校などへの光熱費支援、中小貨物運送事業者に対する燃料価格高騰分の一部支援など、事業者への「施策周知」の徹底と速やかな予算執行を求めます。


次に、「事業協同組合 物流効率化対応費補助」についてです。


この補助は、物価高騰により「物流の2024年問題」への対応が遅れている中小企業者で構成する事業協同組合を支援するため、物流効率化に資する設備を導入する経費等に対するものです。設備や機器の導入には、システムの開発など一定の時間がかかります。また、経済や景気の動向もある中、時間も迫られています。事業実施期間の設定も含め、迅速に進めるよう求めます。


次に、「令和5年県職員の給与等に関する報告及び給与改定に関する」人事委員会勧告への対応についてです。


今回はプラス改定となりましたが、職員のモチベーション向上や人材確保を図っていくためには、働きやすく、働きがいのある職場づくりを進めることが重要だと考えます。また、会計年度任用職員の報酬についても常勤職員と同様の給与改定の手法を取り入れるとし、処遇改善という視点では一歩前進したと考えます。さらに、長時間労働の是正に向けた取り組みも含め、すべての職員が健康で生き生きと働ける環境整備に向け、しっかりと取り組むよう求めます。


次に、定県第93号議案 神奈川県子ども・若者施策審議会条例についてです。


こども基本法に基づく県のこども計画の策定に向けて、神奈川県こどもの貧困対策推進計画、かながわ子ども・若者支援指針、かながわこどもみらいプランを統合させ「都道府県こども計画」を策定し、審議体制はこれら既存の3つの計画・指針の審議体制を一体化し、神奈川県子ども・若者施策審議会としていく方針が示されました。新たな審議会では、広範囲にわたる審議対象を取り扱うこととなります。県のこども計画を、子ども・若者施策を幅広く網羅する、より良いものにしていくためには、「高い専門性」と、子ども・若者の「当事者」の意見を踏まえた、十分に審議できる「体制づくり」が不可欠です。今後の委員選定を含め、まずは体制作りにしっかりと取り組むことを求めます。


次に、神奈川版ライドシェアについてです。


実証実験については地域性の強い施策となるため、地域独自の項目と汎用性を持たせる項目とをしっかりと切り分け、その後の検証に資する「知見」と「データ」を丁寧に収集することを求めます。


次に、犯罪被害者等支援に係る市町村との連携についてです。


犯罪被害者等支援は、市町村による取り組みに差が生じている実態があり、日常生活支援については、県内7市にとどまっている状況です。市町村の取り組みの差の縮小に向け財政支援を含めた支援強化を求めます。また、支援においてはそれぞれの市町村の状況や意向などに沿ったものであることが必要です。今後、新たに配置されるコーディネーターを通じて、各市町村の要望に沿った支援につなげるよう求めます。


次に、神奈川県新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金の不正受給に関する県の対応についてです。


返還請求に係る訴訟を含めた債権の回収に努め、着実にその回収を進めていることは評価します。協力金の原資は税金である以上、悪質な不正受給者への対応については、引き続き、警察と緊密に連携・協力し、毅然とした対応をとることを求めます。また、債権回収業務を担っている県中小企業支援課は、その名の通りコロナを経て様々な課題を抱える中小企業の支援に集中する必要があります。今後の協力金の債権回収業務については、別部署への集約化を検討するよう求めます。


次に、児童虐待による死亡事例等の調査検証についてです。


令和4年4月に藤沢市で発生した児童虐待死亡事例の検証などでは、児童相談所が母子交流の状況を高く評価していたことが、家庭引き取り後の対応の遅れなどにつながったと指摘されています。担当者以外の意見や異なる視点を出し合うなど、組織としての判断と方針をしっかりと打ち出すことが重要です。児童相談所は「子どものいのちを守ること」が大前提です。死亡事例は、職員の士気や児相で働く意欲を削ぐことにつながります。今後、検証結果を踏まえ再発防止に取り組むと同時に、職員へのケアも丁寧に行い、働きやすい環境を整え、支援のさらなる質の向上に努めることを求めます。


最後に、水道事業の継続についてです。


老朽化した水道管路の更新や県民の大切なライフラインである水道を守るための料金改定は理解できます。県民が物価高で苦しむ中22%の改定幅は唐突感がありますが、今回、県民生活に配慮し、県営水道の料金改定を段階的に引き上げるようになったことは評価します。今後も県内の景気動向等を加味しながら進めるよう求めます。また、5事業者の水道システムの費用負担の在り方や財源の確保については、県営水道の料金改定の議論、状況を踏まえても不断の努力が求められます。施設整備計画を検討していく中で、経費節減に努め、あらゆる財源の確保と合わせて、効率的な事業構築に取り組むよう求めます。


以上、意見、要望を申し上げ、今定例会に提案された定県第87号議案 令和5年度神奈川県一般会計補正予算(第4号)ほか諸議案に対し、賛成することを表明し、討論を終わります。

閲覧数:17回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page