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  • 執筆者の写真圭介 佐藤

決算特別委員会質疑1日目

更新日:2020年11月19日


決算特別委員会は、決算認定議案が提出された時に設置され、令和元年度の一般会計、特別会計、公営企業会計の決算を審査する委員会です。

10月14日(水)から11月2日(月)まで開催されました。



3日間に渡り質疑を行いましたので、1日目の質疑内容からお知らせします。



〇ダムのしゅんせつ土砂の有効活用について

※しゅんせつの様子(県資料より引用)


相模貯水池は、湛水を開始してから70年以上が経過し、上流から流入する土砂によって貯水池内の堆砂が進行しています。

堆砂を放置すると貯水池内の河床高が上昇し、上流部で浸水災害を発生させる恐れがあることや、利用可能な水の量が減少することから、堆砂対策が必要となります。


そのため、上流域の災害防止と、県民の大切な「水がめ」としての機能を確保するため、相模貯水池等に堆積した土砂(堆砂)を除去し、 しゅんせつした土砂の有効活用を図る事業を行いました。


令和元年度事業費は1,294,170千円で、予算に対し残額が1億2,587万円余りとなりました。

主な理由としては、予定していた工事を入札したところ、残額が4,893万円となったこと、また、骨材として利用すると見込んでいた土砂量が東日本台風の影響により搬出できなかった分、執行残が7,032万円ほどとなったことによるものです。


しゅんせつにより生じた土砂は、コンクリート用骨材に優先的に活用し、良質な砂については養浜事業や河川の置き砂などに活用されます。


●養浜事業

茅ヶ崎海岸は、相模川にダムが建設され昭和30年代に大規模な砂利採取が行われるなどの都市開発が進み、河川流出土砂量が激減したことで砂浜全体が減少し、更に、漁港や海岸構造物など沿岸漂砂の移動を阻止する施設が建設された結果、局所的な侵食が急速に進行しました。

 そのため、山、川、海が連携した総合的な土砂管理の取組みが大変重要な地域です。


養浜事業は平成13年から行われ、これまで32万立法メートルのしゅんせつした土砂を活用してきました。

令和元年度は1万3,000立方メートルの砂を活用し、費用は、運搬費等を県土整備局と2分の1ずつ負担し、6,084万円余りとのことでした。


茅ヶ崎海岸の中海岸地区では、養浜により砂浜が回復し、台風のときでも波消し機能により被害は発生しなかったなどの効果が確認されているそうです。


●河川の置き砂

県では、河川からの土砂の減少を食い止めるため、しゅんせつ土砂をダム直下に置き、洪水(ダムからの放水)時に土砂を自然に流し、相模湾に土砂が流れ込むようにする「置き砂」を行っています。


この事業は平成20年度から行われ、これまでに1万3,000立方メートルの土砂が活用されています。

令和元年度は2,000立方メートルを搬入し、その費用は運搬費分1,491万円余りとなっています。


置き砂は、生態系へ影響させずに土砂を流すことを目的としていますが、モニタリング調査の結果では、生態系に影響なく土砂を流すことができているとのことです。



養浜の効果はかなり大きいと感じましたが、置き砂に関してはまだまだ効果が見えづらい印象です。

河川の一部では上流からの砂が流れていない区間もあることを考えると、今後の活用についても期待できると見込まれるため、取り組んでいただきたいと述べました。



近年の激甚化する豪雨により、ダムへの土砂の流入量が約26万立米増えてきていると言われ、今後も大量の流入が想定されます。

一方で、年間の目標しゅんせつ量は15万立米となっており、貯水量の低下を避けるためには、しゅんせつ土砂の活用先の開拓のほか、機敏にしゅんせつを行える体制づくりが必要と考えます。


川の水とともに流れ込み、ダムに堆積する土砂は、ダムの機能を低下させる原因となり、これを取り除く貯水池のしゅんせつはダムがある限り継続していかなければならず、埋立て処分もいずれ限界がきてしまいます。

今後も企業庁と県土整備局が連携し、しゅんせつ土砂を養浜や置き砂等に有効活用して、土砂環境の改善に向け、しっかりと取り組むことが求められます。


昨年度の1億2,000万円の執行残は台風19号の影響で土砂が搬出できなかったとのことですが、今年度から令和11年度まで「相模貯水池堆砂対策事業」として新たに取り組むこととなっており、ぜひ効果的な事業となるよう求めました。



〇県営水道における災害時の体制強化について


●ソフト事業:災害時の受援体制の強化


被災時に他の水道事業者からの応援を受け入れ、速やかな応急復旧活動が行える体制を整えるため、他の水道事業者と合同で訓練を実施したほか、備品等を購入しました。


県営水道では、地震等の大規模な災害が発生した場合に職員が迅速かつ的確に行動できるよう、次の事項に重点を置き、企業庁全体の訓練を毎年4回行っています。


【重点事項】

・地震のほか浸水や停電など多様な場面を想定した訓練を行い、具体的な被害をイメージしてそれに対応する能力を高めること

・発災時、特に勤務時間外における手順を反復して訓練し、初動対応を強化すること

・協定を締結している水道事業者や観光事業者、応急給水を担う市町との連携協力体制を強固にするため合同訓練を実施する



令和元年度の決算額は60万円となっていますが、他の事業者からの応援を受け入れる際に、応援隊が持参した器具が、県営水道で使用している弁栓類の形状に合わないことも考えられるため、貸し出すための器具を整備したもので、3種類のバルブを開け閉めする器具3種類を1セットとして4セットを購入したものです。


また、令和元年度は次のとおり合同訓練を行ったとのことです。

●応援要請に係る通信連絡訓練

●千葉県企業局

→海老名市と合同で応急給水に係る実動訓練

●観光事業協同組合

→市町と合同で災害用指定配水池での給水タンクへの注水訓練

●神奈川県石油業協同組合

→停電時を想定した非常用発電設備の燃料タンクへの給油に係る実動訓練


(意見・感想)

●千葉県企業局

「千葉県のほうでは高低差を利用して自然流下で水を配れる配水池が少なく、応急給水の際に配水池から給水車への注水は想定していないので、このような施設であることを事前に把握しておくことは実際の活動に大変参考になる」

●海老名市

「実際に現地で確認することが大事だ」

※病院の受水槽へ実際に注水する訓練をした際、当初は病院の受水槽へ階段で下るという情報を把握していたが、実際にははしごだった


受援体制を構築するためには、しっかりと被害の想定をする必要があると考えます。

例えば、断水をした場合の被害戸数や被害金額、それに対して必要な人員などが想定できないと、なかなか訓練にも役に立てていくことができません。

ソフト面の訓練は非常に大切であるため、しっかりと取り組むことを求めました。



●ハード事業:揚水ポンプ所停電対策事業


大規模災害時の揚水ポンプ所の停電対策強化のため、令和元年度からの2か年の債務負担行為を設定し移動電源車を導入しました。

※寒川浄水場に導入された電源車


今回導入した電源車は、全長が約7メートルの4トン車に相当する車両に、電圧が200ボルト、発電容量が160キロワットの発電機を搭載したもので、車両と発電機の燃料はともに軽油を使用します。

1回の給油で約4時間の発電が可能で、令和2年7月に寒川浄水場に配備されました。


令和元年度は電源車と揚水ポンプ所を速やかに接続するための設備を設置するため、3か所の揚水ポンプ所の電気設備を改造を実施し、決算額は1,558万円余りでした。


電源車の購入については、令和元年度から2か年の債務負担行為(*)を設定して購入契約を結んでおり、令和元年度は政策期間であったため計上した額はありません。

 

*債務負担行為数年度にわたる建設工事や土地の購入等において、翌年度以降に支出する経費支出など、将来の財政支出を約束する行為

 

※寒川浄水場


電源車は緊急時に迅速かつ的確に運用することが最も重要であり、24時間365日ポンプ所等の運転状況を監視している寒川浄水場に配備することで、いつでも出動できるよう準備しています。

また、電源車の運用マニュアルを作成するとともに、発電機の起動や停止、ポンプ所側の受電設備との接続などの一連の作業について定期的に訓練を実施するなど、ソフト対策に取り組むとのことです。



この電源車は揚水ポンプ所で配水池に水を揚げるために使用することを想定しています。

揚水ポンプ所から配水池に水をためるところであれば、たまっている水がなくなるまではすぐには断水しないため、水の容量の減り方を見ながら、減り方の激しいところから順に回っていくとのことです。


県内には神奈川県内広域水道企業団、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市の5つの事業体がありますが、現在のところ、ほかの事業体で利用することは想定していません。

緊急時に備え、トラックで運べる2トン車程度の可搬型の発電機も2台用意しており、災害時な複数利用しながら対応していくとのことです。


災害が同時多発に起きたような場合や、現在導入された寒川浄水場から電源車が移動できない場合に、可搬式の発電機があるとはいえ、各5事業体が連携する必要性はあると考えます。

今後はそういった方向性を視野に入れ、災害に強い水道事業を構築していただくことを求めました。


当日の質疑の様子は、県HPからご覧いただけます。

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