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  • 執筆者の写真圭介 佐藤

代表質問に登壇しました




6月20日に次の6項目について会派を代表し質問しました。


1 新型コロナウイルス感染症対策における保健所の機能維持

2 観光客の安全対策

3 女性デジタル人材育成

4 本県の森林資源の活用

5 教師不足の実態と解消

6 学校教育における心の不調に関する学び



新型コロナウイルス感染症対策における保健所の機能維持

※厚木保健福祉事務所(県HPより)


新型コロナウイルスの感染者が県内で初めて確認されてから2年以上が経過。

「保健所や医療現場への負荷」という観点で見ると、この2年以上にわたる感染拡大への対応の中で、想定を超える大きな負荷がかかったのではないかと感じています。


特に保健所は、コロナのような新興感染症に対応する地域の要として、感染者の管理や入院勧告、搬送など、重要な役割を担っていますが、保健師などの人員は平時を想定して配置されていた上に、例えば感染者や医療機関への連絡手段は電話やファクスが中心であるなど、ICTなどによる効率化も十分に進んでいなかったと伺っています。


そうした体制で度重なる感染拡大の波に直面し、職員には量的にも質的にも大きな負荷がかかりました。

「保健所の業務ひっ迫」「機能不全の危機」という言葉も度々耳にしました。




県ではコロナ発生当初から全国に先駆けてさまざまな「神奈川モデル」を打ち出し、取り組んできました。

これは「保健所のコロナ対応」という面では、限られた人材等の資源を効果的に活用し、省力化してコロナに適切に対応していく取組みであり、その点では一定の評価をしています。


一方、保健所の人材、特に専門職の拡充や育成には一定の期間を要します。

今後もしばらくは人材等の資源が限られた状況が続くと想定されることから、引き続き保健所の負担感を少しでも軽減し、新たな感染拡大の波にも適切に対応していくことが重要です。

そのため、県の取組みが「有事における保健所機能の維持」という点からどうであったのか、検証する必要があると考えます。


そこで、新型コロナウイルスの感染拡大に対応して、県が打ち出したさまざまな取組みについて、ひっ迫する保健所の機能維持という観点から、成果や課題をどのように捉えているのか、知事に所見を伺いました。



知事答弁


感染症から県民のいのちと健康を守るため、保健所が地域で果たす役割は大変重要です。


保健所は、今回のような非常時を想定した人員体制とはなっていなかったため、急拡大する患者の健康観察等を行うことが難しい状況でした。


そこで県では、


①応援職員や民間派遣の活用により保健所の体制を強化し、特に業務が逼迫した保健師は専門的な業務に専念する体制を整えた


②市町村からも保健師等を派遣により保健所業務を支援していただいた


③患者情報のシステム入力や搬送調整を本庁で行い保健所業務の軽減を図った


④患者のフォローアップを保健所でなく地域の医師会や訪問看護ステーションが行う「地域療養の神奈川モデル」の仕組みも立ち上げた


⑤LINEを活用した健康観察やAI電話による安否確認など、ICTを活用した業務の省力化を図った


⑥高齢者や、基礎疾患を持つ方を「重点観察対象者」と位置づけ、健康観察を重点化する仕組みを導入し、保健所の業務自体を合理化した


これらの取組みにより、先般の第6波のように感染が想定を大きく超えて拡大した際にも、何とか保健所の機能を維持できたと考えています。



一方、今後の新興感染症に対応するためには、全国共通の情報基盤を整備するなど、有事の際にも保健所が効率的に業務を行えるようにする必要があります。


そこで県では、平時から国が主導して取り組むべきポイントとして、保健所の情報基盤の整備などについても、国に提言を行いました。


今後とも、感染拡大時に、保健所がその機能を維持し、県民の皆様のいのちと健康を守ることができるよう、しっかりと取り組んでまいります。



要望


本県として、2019年12月から保健所の機能維持のための対策をとり、実施した上での課題や改善点を国に提言したことは評価できます。

提言は保健所機能維持に限りませんが、本県独自で取組み行ったことが、国や他の都道府県などでも対策に至ったものもあると思います。

第7波についても感染症対策の対応について引続き抜かりなく取組むことを求めました。


答弁では言及されませんでしたが、保健所の逼迫の裏側で業務にあたって頂いた職員に仕事が集中し、業務過多から、心身の健康に影響を及ぼすことも多いとも聞いています。


こうした点も、国の方でも課題としては上がっていました。

保健所の機能の維持の点から、効率化と、有事に切り替えられる体制を引続き県として行うことを求めました。



観光客の安全対策


コロナ禍で落ち込んだ県内経済の回復に向けて、地域活性化の重要な役割を担う観光産業の再生は必要不可欠です。


県では令和4年度、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」放映等の機会を捉え、県外からの誘客や県内周遊を促進するとともに、外国人観光客の段階的回復も視野に入れて、観光資源の質の向上や観光客の受入環境整備に取組み、魅力ある神奈川づくりを推進することとしています。


※観光かながわNOW『鎌倉殿×13人の御家人たち「ゆかりの地」めぐり』特設ページより


また、令和2年3月に策定された「第2期神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても、国内外から神奈川への新しいひとの流れをつくることを基本目標に掲げ、地域入込観光客数のKPIについてこれまでの最高値を上回る水準を目指し、2022年度以降374万人を維持していくことを目標としています。




一方、近年災害等の発生件数が増加し、地震や水害等で観光地が被災するケースもあります。

観光地が被災すると、その地域へ旅行することのリスクが高いと認識され、旅行者が減少し経済的損失が発生します。

観光客を継続して呼び込むためには、安全・安心のマネジメントが不可欠です



先日視察した福岡県の東峰村では、九州北部豪雨の際は、道路が寸断され、観光客が住民の生活圏で実際に公民館などへの避難し、住民がお世話したことなどが非常に多かったことや対応への課題があったことなどを伺いました。


観光客や旅行者は土地勘がなく、周囲に知り合いがいないことも多い上に、事前の避難訓練もできないなど地域住民とは異なる支援ニーズがあります。

県内の観光産業と観光客を守るため、観光客の安全対策は重要です。




感染症や自然災害といった非常時における旅行者等の安全・安心の確保のための事前の備えがこれまで以上に重要となることから、自然災害や感染症が発生した際の被災者等の受入先を確保するため、平時における事前準備として、宿泊業界団体とも連携しつつ、各地の宿泊業団体と自治体との協定締結など、災害発生時等における具体的な対応に関する調整等を促進すべきであることが示されました。




災害・事故発生時に地域全体として観光客の安全を守るため、迅速な対応をとる際に、災害・事故発生時に、だれが、どこの宿泊施設に泊まっていたかなど、民間の観光関連事業者の持つ情報が観光客の安否確認のためには不可欠であり、観光産業の危機管理では、民間業者と行政の連携は重要です。


今後も多くの観光客を迎え入れ、神奈川での旅行を楽しんでいただくため、観光客の安全・安心の確保は不可欠と考えます。

そこで、観光客の安全対策について知事に見解を伺いました。



知事答弁


本県には、国内外から多くの観光客が訪れており、地域住民の防災対策だけでなく、観光客の安全安心の確保に取り組む必要があります。


そこで県では、


①国内外の観光客に対して、観光情報ウェブサイト等を通じて、最新の災害情報にアクセスできるように工夫


②災害により交通機関が一斉に運休した場合には、観光客も通勤・通学者と同様に帰宅困難者となるため、県と市町村で確保している帰宅困難者一時滞在施設で受け入れる


③災害時に観光事業者が円滑に対応できるよう、「観光事業者のための災害対応マニュアル」を作成し、周知のための説明会を実施



しかし、その後、新型コロナの感染拡大により、災害対応マニュアルの周知や観光事業者等との意見交換を十分に行うことが難しい状況が続きました。


そこで、今年度は、観光事業者にはたらきかけて、災害対応マニュアルの内容を周知徹底します。

また、観光産業関連団体で構成する「神奈川県観光魅力創造協議会」や、県や市町村の観光部局で構成する会議等で、改めて観光客の安全安心の在り方について意見交換を行います。

こうして把握した意見等を、今年度行う「神奈川県観光振興計画」の改定に生かしていきます。


神奈川県観光振興計画の素案はこちら(令和4年11月現在)


今後も、本県を訪れた方が安心して旅行することができるよう、市町村や観光事業者等と連携し、観光客の安全対策に取り組んでまいります。


要望

県民割と国の新しい観光支援施策が始まり、観光が全国的にも徐々に動き出すタイミングです。

そうした中で、風水害、地震などが起こる可能性を忘れてはなりません。

事業者、自治体においても、これから観光再開に向けて加熱する今だからこそ、これまでの観光客の安全対策として、改めて県としてしっかりと取り組んでいただくよう求めました。



女性デジタル人材育成

新型コロナウイルス感染症拡大は、県民の就業面に大きな影響を与え続け、特に非正規雇用労働者や女性への影響が顕著となっています。


実際、厚生労働省の『令和3年版労働経済の分析―新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響― 』においても、「2019 年まで正規雇用労働者、非正規雇用労働者ともに増加傾向にあったが、2020 年には正規雇用労働者が増加を続ける中で非正規雇用労働者が女性を中心に大きく減少」と分析されており、本県も例外ではありません。


令和3年3月に世界経済フォーラムが公表した「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は156か国中120位となっており、我が国の男女共同参画の現状は諸外国に比べて立ち遅れているのが現状です。長引くコロナ禍の影響は、男女共同参画の遅れを改めて顕在化させたと言えます。


※令和4年7月13日発表では、日本の順位:116位/146か国(内閣府男女共同参画局HP


国が決定した女性活躍・男女共同参画の重点方針2022の中で、第5次男女共同参画基本計画を着実に実行するため、令和4年度及び5年度に重点的に取組むべき事項として女性の経済的自立を掲げ、その具体策のひとつとして「女性デジタル人材の育成」が示されました。




就業者には厳しい社会情勢にもかかわらず、デジタル分野は人材が常に不足しています。


実際、令和4年2月4日の若宮健嗣デジタル田園都市国家構想担当大臣の説明資料『デジタル人材の育成・確保に向けて 』によると、


「デジタル人材が質・量ともに充実しているとは言いがたく、人材全体の底上げや裾野の広がり、専門人材の 育成・確保、都市圏への偏在解消等を同時に進めることが求められる」


「政府をあげてデジタル人材の育成・確保を推進する。

①デジタル人材育成プラットフォーム

②職業訓練

③大学等における教育(リカレントを含む)等によりデジタル人材を育成する

④デジタル人材の地域への還流を促進する」


ことを目指しています。



このような中、令和4年4月26日、男女共同参画会議において『女性デジタル人材育成プラン 』が決定されました。

このプランに基づき、就労に直結するデジタルスキルの習得支援及びデジタル分野への就労支援を今後3年間、集中的に推進するものです。


同プランは、コロナ禍における女性の就労支援、女性の経済的自立及びデジタル分野におけるジェンダーギャップの解消を念頭に、「就労に直結するデジタルスキルを身につけた女性デジタル人材育成の加速化」という目標を掲げ、特に女性を対象とした取組を積極的に実施することとしています。


このプランの注目すべき点は、就労におけるジェンダーギャップ、デジタル分野における人材不足に着目し、女性×デジタル分野の視点で、女性の経済的自立を目指している点です。



プランに付随する『女性デジタル人材育成プラン事例集 』では、このような女性×デジタル分野における自治体や企業等の取組が紹介されており、女性就業者のデジタル分野へのリスキリングを通じて、所得向上に至った事例もあります。


また、今年度より愛媛県では民間企業・団体と連携協定を締結し、女性×デジタル分野によって、女性の所得向上による自分らしい生き方を促進するために、3年で500名の女性デジタル人材を育成し、10億円の総報酬額をめざす取組が始まりました。


愛媛県では、本年2月に中村時広知事が、「あたらしい愛媛の未来を切り拓くDX実行プラン」において、一人当たり県民所得を265万円から300万円へ引き上げる大胆な方針を示しており、女性デジタル人材育成はその一つとして大きな注目を集めています。


そこで、デジタル分野をはじめ様々な分野におけるジェンダーギャップの解消が重要であると考えますが、県としてどのように受け止めているのか、また、女性デジタル人材育成プランも踏まえて、本県においてはこれまでどのような取組みを行い、今後、どのような考え方で取り組むのか、知事の所見を伺いました。


知事答弁

            

県としても、デジタル分野を含めた、女性の参画が進んでいない分野におけるジェンダーギャップの解消は、女性の経済的自立や、ひいては社会全体に活力をもたらすことにつながり、大変重要と考えています。


そこで県では、デジタル分野を含めた理系分野への志望を促進・支援するため、「かながわ女性の活躍応援団」団員企業の女性技術者等を講師として、中学校や高等学校における出前講座を行うほか、様々な分野で活躍する女性のロールモデルを冊子で紹介してきました。



また、デジタル分野への就労を促進するため、女性からの受講ニーズが高い、ホームページの作成やパソコンの利活用などの職業訓練を実施しており、子育て中の女性でも受講しやすいよう託児支援サービスなども利用できるようにしています。


女性デジタル人材の育成は、人材確保やジェンダーギャップの解消とともに、テレワークなど柔軟な働き方を推進する観点からも大変重要です。


※かながわ男女共同参画推進プラン 改定素案はこちら


今年度、計画の最終年度を迎える「第4次かながわ男女共同参画推進プラン」の改定にあたっては、こうした人材の育成の考え方を盛り込むとともに、国の「女性デジタル人材育成プラン」も踏まえながら、目標や施策の検討を行います。


今後も、デジタル分野を含めた女性活躍を進め、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現を目指して取り組んでまいります。


要望

県のジェンダーギャップ解消に向けた取組については、理工系の学生を中心とした話でしたが、今後は女性の活躍の幅を広げるという点からもデジタル分野における取組により強く進めていただきたいと思います。


このコロナ禍で様々な考え方、取組みの変化が求められています。

デジタル分野においては、再教育、学びなおすといった意味のリスキリングという考え方が大事になってくると思います。


女性のデジタル人材育成に限らず、特に期待するところとして、経済的自立や多様な働き方を図るといった意味で、今後、リスキリングの機運や支援に対して県として取り組むことを求めました。


本県に設置されたデジタル戦略本部室においても、企業との情報収集という点で、ICT推進指針にも明記しています。

各局が連携して、女性デジタル育成プランへの対応に取り組んでいただきたいと思います。




本県の森林資源の活用

神奈川県森林組合連合会の木材加工の様子


我が国では、戦後に植林された人工林の多くが伐採期を迎え、近年、森林資源の充実とともに木材生産量が増加し続けていますが、それでもなお、多くを海外からの輸入に頼っているのが現状です。


昨年は、コロナ禍の影響により、世界的に木材の品不足や価格高騰、いわゆるウッドショックが起こり、木材の輸入が滞ったため、国内の木材流通や住宅建設に大きな混乱が生じました。また、最近でも、ロシアのウクライナ侵攻の影響で輸入材の供給不安が続いており、経済的な安全保障の観点から国産材の活用が見直されているところです。



一方、気候変動による環境への影響が世界的に顕在化し、国内外で脱炭素社会実現への取組が加速化してきました。

こうした中、木材を建築物等に利用することが、脱炭素社会の実現に貢献するものとして注目され、国産材の活用への期待が高まってきています。


本県においても、戦後、スギやヒノキの植林や保育が進められ、現在、森林蓄積量は1千9百万㎥以上と、森林資源は充実してきています。


県では、平成9年度から、手入れの進んでいない私有林を森林所有者に代わって管理・整備を行う「公的管理」を開始し、平成19年度からは水源環境保全税を活用し、取組みを加速化して森林の適正管理を進めながら、間伐材の搬出に対する支援を行い、森林資源の有効活用も進めています。



山から搬出された間伐材は、曲がりのない材は柱や板などに加工されて建築用として利用され、曲がりの大きい材はチップに加工され燃料等に利用されますが、本県ではチップにされるものが少なくないと聞いています。


今後の森林資源の活用に当たっては、脱炭素社会実現への貢献など、最近の国産材への期待を踏まえた活用を図りながら、木材の安定供給に貢献していくべきではないかと考えます。


そこで、脱炭素社会への貢献や木材の安定供給などの視点から国産材利用の期待が高まる中、本県の森林資源の活用をどのように進めていくのか、知事に見解を伺いました。



知事答弁


森林は、成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収し、伐採後は、木材として建築物等に利用することで、長期間二酸化炭素を閉じ込めておくことができるため、脱炭素社会の実現にとって重要な資源です。


また、昨年来の木材輸入の停滞や不安定化により、国産や県産の森林資源の果たす役割、重要性は高まっていると認識しています。


県ではこれまで、森林資源の有効活用のため、間伐材搬出補助など様々な支援に取り組んできた結果、現在では、取組開始前の平成16年度と比較して約5倍の3万立方メートルをコンスタントに生産できるようになり、量的な面で成果が出ています。



一方、木材の利用面を見ると、全てを建築用に利用しているわけではなく、燃料用チップとしての利用が2割から3割ほどを占めています。

脱炭素社会の実現に向けては、燃料として燃やしてしまうのではなく、極力建築用として加工・利用していくことが重要です。


そのためには、山から伐り出した時点では混在している木材を、建築用材に向いている材と不向きな材とに丁寧に仕分ける必要がありますが、手間やコストが掛かるため、必ずしも十分に行われておらず、チップとされてしまう木材があるのが実状です。


こうした課題を解決するためには、林業事業者、市場事業者、木材加工業者など木材の流通に関わる関係者の理解と連携・協力が不可欠です。



そこでまずは、これらの関係者と、木材利用に対する昨今の社会的ニーズをしっかりと共有した上で、丁寧な仕分けなど、建築用材の拡大に向けた具体的な方策の協議・検討を促していきます。

さらに、その協議結果を踏まえて、県としてどのような支援ができるかについても検討していきます。


林業・木材業界と県が連携・協力することにより、木材の安定供給や脱炭素社会に資する森林資源の活用を進め、社会のニーズに応えてまいります。



要望

今後、仕分け等を行って搬出された材木についての活用を図っていく、そして、関係者とも共有していくという答弁でしたが、そういったことを是非お願いしたいと思います。


現在は水源税があることで、山からの木材の搬出がより多く行われています。

また新たに森林環境税が令和6年から徴収となりますが、県民の目線で税の負担をしている側からすると、県産材がしっかり有効に活用されてほしいという気持ち・期待感があります。


一方、材木の利用となるとどうしても市場での価格や建築での使用法、森林産業のサプライチェーンなどに左右されがちです。

本県に限りませんが、木材は搬出期を迎え、今後の課題としては、こうした木材の搬出と使用の循環がしっかり作られていくことです。


本県の森林は公的管理の面が非常に強いと思いますが、是非、「売る」という視点を持ってやっていただきたくことを求めました。


全国的にも国産材の安定供給が求められている今だからこそ、そして今後の財源の課題もありますが、県としてさらなる取組をお願いしたいと思います。



教師不足の実態と解消


昨年度、国が全国の教師不足に関する実態調査が行い、本県の教師不足の実態についても明らかになりました。


この調査結果によると、神奈川県では令和3年5月1日時点で、小学校で45人、中学校で27人の教師不足が生じている状況でした。




国の分析では教師不足の要因として、産休や育休の取得者数が増えたことや、特別支援学級が増加していることにより、必要となる臨時的任用教員の数が増加したことなどが指摘されており、臨時的任用教員のなり手を確保するための対策を講じていく必要があると考えます。


他にも、この調査によれば、中学校では家庭科などの特定の教科で不足が発生していることがわかります。

私の地元でも、中学校においてある教科で臨時的任用教員がみつからなかったために、自分の担当する教科以外の授業を担当することになり、業務が増えたという声を聞いており、教師が教科ごとに適正に配置されていないことにより負担が増えている事例があるとも聞いております。



こうした教師不足の状況に対し、県教育委員会では、あらゆる機会を捉えて教師の確保に取り組んでいることは承知していますが、教師の不足は現場で働く教師の負担を増大させるものであり、働き方改革の観点から、また、なにより、子どもの教育を受ける権利の保障の観点からも、その解消は喫緊の課題であることから、教師不足の状況が生み出す現場の負担などの構造を分析し、教師確保の取組をさらに進め、不足の解消につなげるべきと考えます。


そこで、県教育委員会では教師不足の実態や影響をどのように考えているのか。

また、他の教科と比べて特に不足が生じている教科があるという現状に対して、どのように取り組んでいくのか、教育長に見解を伺いました。



教育長答弁


昨年度、国が実施した教師不足に関する実態調査では、本県も含めて、全国的に教師不足が生じている状況が明らかになりました。

また、今年度、県が行った調査では、国の調査よりも小学校では31人、中学校では11人、さらに教師不足の数が増えています。

 

県教育委員会ではこれまでも、教員採用試験の受験者に、臨時的任用教員の登録を呼びかけるほか、教育現場を長く離れている方などを対象に、ペーパーティーチャー研修を実施し、人材の確保に努めてきました。


こうした取組により、子どもたちの学びに影響が生じないよう努めていますが、特に中学校の美術、技術、家庭科など、教員免許所有者が少ない教科では、臨時的任用教員の不足が大きな課題になっています。


そこで県教育委員会では、採用試験の倍率が低い教科の免許を取得できる大学を個別に訪問し、試験の受験や臨時的任用教員の登録を、これまで以上に働きかけていきます。


こうした中、国の中央教育審議会では、採用試験の早期化など、教師確保に向けた新たな方策について、この夏を目途に議論を進めています。

県教育委員会としては、こうした国の動きも見据えながら、引き続き、様々な工夫を図り、教師不足の解消に粘り強く取り組んでまいります。



再質問

教師不足の解消には全国的な制度の見直しなど国の取組みも必要です。

県教育委員会として国に強く働きかける必要があると考え、教育長の見解を伺いました。



教育長再質問答弁


教師不足の解消には、教員の給与制度の見直しなど、国による財政措置が不可欠です。

そのため、県教育委員会では、全国都道府県教育委員会連合会を通じて、教師不足の解消に向け、国による一層の支援について強く要望をしています。



要望

教師不足は、私も教員をかつて目指した身として関心がある課題です。


様々な答弁がありましたが、今回、国の発表も含め、県教育委員会として分析された点が非常に多くあると思います。

欠員が生じるタイミングや教科など傾向が掴めているはずです。

こうしたことをしっかりと分析し、市町村の教育委員会や、現場の先生ともしっかりと共有して頂きたいと思います。

あらゆる方法を用いて教師不足の改善に向けて取り組むことを求めました。


現場では欠員が出ている教科の先生に対し電話がけをされているお話なども聞いています。

現場の先生の負担が少しでも無くなるよう、県として引き続き取り組むことを求めました。




学校教育における心の不調に関する学び


令和3年12月に国立成育医療研究センターが実施した「2021年度新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査」によると、小学5~6年生の9%、中学生の13%に、中等度以上の抑うつ症状が見られました。


また、抑うつ症状の事例を客観的に見て、助けが必要かどうかを尋ねる質問に対し、小学5年生から中学3年生の約95%が「助けが必要な状態である」と回答したものの、「もしあなたが同じような状態になったら誰かに相談しますか」という質問に対しては、小学5~6年生の25%、中学生の35%は「誰にも相談しないでもう少し自分で様子をみる」と回答しています。


特に、自らの抑うつ症状が重い子どもほど「すぐに誰かに相談する」割合が少なくなり、「誰にも相談しないでもう少し自分で様子をみる」割合が高くなっていました。



この調査結果から、コロナ禍の先の見えない状況の中で、心の不調や悩みを抱え込んでしまう子どもたちが一定数いることが見受けられ、子どもたちへの対応が必要と感じています。


例えば、先日開催された「黒岩知事と県民との対話の広場」~子どもと語るコロナ~においても、県として子どもの心のケアに取り組んでほしい、心理カウンセラーはいつもいるわけではない、心のケアをする人材を常駐させてほしい、心のケアに関する授業をしてほしいなど、子どもたち自身からも心のケアを望む様々な声が寄せられました。



このような子どもの心の健康課題に対応するため、県教育委員会では令和4年度、県立学校におけるスクールカウンセラーの配置や、市町村立学校でのスクールソーシャルワーカーの配置を増やすなど、子どもの心をケアする支援体制の充実に取り組んでいます。


しかし、コロナ禍の子どもが抱える心の問題は我々が考える以上に深刻であり、将来を担う子どもたちのメンタルヘルスを守るには、相談体制を一層充実させていく一方で、子ども自身が心の不調に気付き、早期に適切な対処ができるよう、精神疾患についての知識や対処法などを学び、身に付けていくことが大切と考えます。


そこで、学校において、児童・生徒が自らの心の不調や精神疾患について学び、自ら気付き、早期に対処することができるよう、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、教育長の見解を伺いました。



教育長答弁


現在、学習指導要領に基づき、保健体育等の授業で子どもたちの心身の不調への対処について、発達段階に応じた指導を行っています。


例えば、小学校では、不安や悩みへの対処は、気分を変えるなど様々な方法があること、中学校では、適切な生活習慣を身に付け、ストレスの原因に応じた対処の仕方を選ぶこと、などを学習しています。

また、高校では、誰でも精神疾患にかかる可能性があることや、治療や支援を早期に開始することで、回復の可能性が高まること、などを学習しています。



しかし、コロナ禍の長期化によって、閉塞感や不安、ストレス等、子どもたちの心の不調は、これまで以上に深刻化しています。

こうした課題に対応するためには、子どもたちが自らの心の不調に気付き、できるだけ早く、周りの大人に訴えられるようにすることが重要です。


そこで、県教育委員会では、教職員が児童・生徒の心の変化に、これまで以上に適切に対応できるよう、教職員向け指導資料「こころサポートハンドブック」を、本年3月に全面改訂しました。

この中では、子どもの相談への適切な対応方法や、子ども自身が周りに相談する力を身に付ける指導事例などを、新たに盛り込んでいます。



県教育委員会では、引き続き、学校教育において心の不調に関する学びを進めるとともに、子ども自身の気付きを、心理の専門家であるスクールカウンセラー等につなげ、深刻化する児童・生徒の心の不調に、適切に対応してまいります。



要望

今年2月の一般質問で子どもの未病対策について伺い、その際もコロナ禍で子どもの心の面の懸念にも触れました。

アメリカでは心の緊急事態宣言をだすというレベルにまでなっているそうです。


心の不調はなかなか医療機関にかからないために系統的に治療計画を立てられないなどの問題点もあるそうです。

「精神疾患などの心の不調は特別な病気ではない」ということが保健体育に限らず、学校での学びの場でも繋がり、自分や回りへの気づきにつながるようなものになってほしいと思います。


高校の指導要領には明記されたという答弁でしたが、精神疾患が増えてくる時期は、思春期とも言われており、高校では遅いと言う指摘もあります。

高校の指導要領を踏まえ、小中学校においても、その理解が進むよう、引き続き努めていただくよう求めました。



代表質問の様子は、県HPから録画映像をご覧いただけます。









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